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膝辺りをくすぐる緑の草原、雲ひとつない青空。

終わりの見えない草原の稜線は、天と地を分ける境界。

静かで爽やかな世界に私一人。

ふと心の中に思い出すのは、多くの災害、事故や事件の記憶。

思わず口ずさむのは、犠牲者への哀しみの歌。

しかしこの哀しみを終わらせて、今からは鎮魂の歌を歌おうと思った。

悲哀に嘆くだけではなく、魂を、心を慰めるために。

その時、私の手を握り幼い声が重なる。

私の隣に居るのは白い衣に身を包んだ少女。

彼女は私を見上げると切なそうに笑い、私の頬を涙がつたう。

そこに次々と重なる声達。

目の前には少女と同じように白い衣を着た大勢の人。

その歌声は地を巡り、空を駆け廻る大合唱となった。

そんな時、スコールのように空から降り注ぐコーラス。

空を見ると天を埋め尽くすかの様な、幾万もの天使達が私達の歌に合わせ声を上げる。

彼らは言う。

「歌え!」「謡え!」「詩え!」失いし哀しみに満ちた魂を慰めるために!

私はそれに答えるように、少女の頭をなで更に思いを込めて歌う。

命を失いし者、伴侶を失い、子供を失い、両親を失った、残された者。

全ての哀しみのためにレクイエムを歌おう。

その胸を焼くような哀しみを鎮め、涙を拭い、平安を取り戻すために。

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