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RAIN

Bye Bye
心地よくも重だるい気配を感じながら、頭を縛るものを脱ぐ
心地よい静謐、また時折聞こえるみなもの音
そして、ふわりと訪れるおぼろげな景色
感覚もなければもちろん感想すら残らないだろう
暗闇の中に幾筋もの光の帯が収束し私を照らし出す
その私との距離を、近くみえて深淵であることを知る私が視ている
部屋でもなく、自然に作られたものではない場所
それだけで完結し、それ以外はどうでもいい所
彼の目を通して目の前には一人の痩せ細った老人
長い白髪、深く刻み込まれたしわ、力なく岩に腰掛けた姿は木乃伊の様
老い過ぎているように見えて、その瞳は挑発的で傲然としたな笑みで満ちた
「お前はどれが欲しい?」
人の心を覗いておいて、人の痛みを蹂躙して、つまらないものだと鼻で笑い問う
プラスチック容器に入った君の骨
哀しいほどに色褪せながら、切なげに微笑む誰かの写真
昔口にしたはずの名前と、不確かでも思い出とわかること
郷愁は振り返れども遠く、積み重ねた時の重みが輝く
いずれも望めば一つはくれてやる、彼は呵々と笑うが私への瞳は動かない
北風への怒りの日々と、人が持つ温もりへの無知
私に光と温かさを教え、幸せを知る前に魂の住むところへ君は帰った
渇望するものはあれ、こんな歪んだ色々はいらない
老人を前にほろ苦く笑う私に、違うだろうと別の私が声を上げるが
私の中の無くした物を求める心と、狂おしい歓喜が留められない
「すべていらない、欲しいのはこんなものじゃない」
制御できない自分を、甘い悔恨に囚われなかったもう一人の私が拒絶する
望むのは未来、雲晴れぬ道を歩き切り自分の時を終えた時
その時に本当の君に出会える
無くした言葉も、額を合わせた温もりも色褪せぬ永遠になるから
それは、確かに命と交わした絶対的な約束
だから今はさようならと言おう
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