

RAIN

Promise
いつでも胸の中にしまっていること。それは幼きころからの約束。
あなたはいつも言ってくれた。大人になっても一緒にいようねと。
幼き頃のアルバムは、二人で笑ってる肖像が残ってる。
あなたは存在の意味を変え、私の心の中だけの存在になっちゃった。
長い時を越え私一人。時は過ぎて、私は変わったよ。
でも私の心の中のあなたの面影は今も変わらない。
あなたと別れのときに交わした言葉。
それは私の心の中に大切に抱きしめてる。
時は過ぎていく。
私はあなたの年齢を超えちゃった。
あなたのほうが年上だったのに。
時の砂と共にあなたと過ごしたささやかな記憶を失っていく。
それでもあなたと交わした大切な約束は絶対に忘れない。
あなたが望んだように、私は幸せになるよ。
精一杯生きて、絶対に幸せになる。
私の時が満ちて天国に行ったときに、あなたを悲しませないように。
共に居ることを喜べる様に。
それが私達の約束だから。
だから、私の人生を空から見ていてね。
あなたと再び会うことが、最後の時に交わした約束なのだから。
そして、私を抱私の人生を空から見、最後の時に交わした約束なのだから。
そして、私を抱きしめて。私の大好きな優しい声で、私を迎えてね。

イマージュ
冷たくすんだ冬の空に、たくさんの星々が光り輝く。
私は湖畔を歩き、その空を見上げる。
気が付けば、私は湖の上。私の歩みに波紋さえ広がらない。
水は虚空の空を映し、私は星々に包まれる。
私の歩みと共に空の星、映された星がゆっくりと過ぎ去っていく。
それはまるで、宙を旅している様。
西の空から東の空へ流星が飛べば、水面の流星は共に輝き、天空から流星群が降れば足元から星々が湧き上がり私は星雲に包まれる。
この光景を、この神々しさを何ていったら良いのか。
鳥の鳴き声のする方に眼を向ければ、つがいの白鳥が居た。
片方は傷つき、片方はその情熱ゆえに鳴いている。
その風景を見たときに、私を悲しみを伴った言葉には出来ない寒さが包んでいることに気が付いた。
私は涙と共に、この想いと共に息を吐くと白い息と共に凍りついた輝きが広がる。そこで私は気が付く、私達はどんなに愛し合っても皆一人なのだと。
一人で生まれ、共に生き、死ぬときは一人。宙は行き着く先の象徴であり、鳥はこの世でのささやかな幸せ。
光と闇が対なすように、幸せと孤独は対を成す。
私はそれを思いながら、宙を進んで私は一人涙を流す。
日の光を思いながら・・・。

LIFE
これまでも、私達は様々な選択を繰り返してきた。
そしてこれからも選択を繰り返していく。
その選択には、喜びや成功。後悔と苦悩。そのどちらかがある。
人によっては、その比率がどちらかに大きく傾き続けている人もいるだろう。
私がそうだったように・・・・。
しかし、今後悔や悲嘆の中にあっても、それが人生の全てだと思ってはならないと思う。
それはあくまでも「今」なのだから。
選択を繰り返し生きて、振り返るとそこには真っ直ぐな人生という一本の道がある。
悪いことは続かない。決して続かない。
光に闇が付き従うように、闇もまた光無くしては存在できないから、それ故に自分の未来を信じて生きていこう。

追憶の溜息
ふとした時に、昔愛してくれた人の笑顔が記憶の淵にたゆたう。
校舎の屋上、木製のベンチ、生徒たちの喧騒。
失意の中にあり、膝に乗せた頭を撫でながら君は愛おしげに微笑む。
「そんなに苦しいなら、全て私が受け止めてあげる。
だから、私を受け入れて・・・」
人に倦み疲れ、自暴自棄な心が彼女を傷つけた。大切だったのに・・・。
恋という熱が宿る瞳、私を見つめる別の顔。
手紙の交換、弾む会話、遠い距離がお互いを切なくさせる。
出会って、手を握ることも、その頤に触れることもなかったのに、
純情な熱意がお互いを焼き尽くす。
「私にはあなただけ・・・。あなたの全てが私の喜び、だから・・・」
彼女の絶対な真実と希望、そして生きる意味。
愛の意味を知らずに、若さゆえに手放してしまった大切な人。
私は愚かで何も知らなかったのだ、人の想いの尊厳すらも・・・。
その思い出は胸を裂くが、全ては追憶。自らの愚かさと若さに溜息。
もう時間は巻き戻らない・・・。

愛の芽吹き
私の愛を証しするために、君の微笑みに触れる。
くすぐったそうな君の笑顔に、自然に笑みが零れる。
突然、心を突き破るように現れる秘めていた想い。
「愛する以上に愛されたい・・・。」
乾いた砂が水を得るように心が満たされていく。
君が語る情熱の言葉と、想いを表す表情が私の孤独を解き放つ。
抱きしめて欲しい・・・。君の温かさで眠りたい・・・。
ああ、私はこんなにも愛に飢えていたのか?
自らの愚かさにより、幾重にも縛られた孤独という牢獄。
尽きぬ泉の様に零れ落ちる、身を引き裂くような君の告白。
思いの丈に涙に濡れる熱い視線。
どうか、この寂しい私を抱きしめ、永遠に近しい時を共に過ごして欲しい。
もしこの願いが叶うのなら、命を賭して君を守る盾になろう。
私の心を潤してくれた君のために。

Father
私は父親としてふさわしかったのだろうか?
威厳、愛、父としての慈しみ。
誰からも教えてもらったことがないから、
目の前に映る子をみて言葉に詰まる。
お金を稼ぐのが父親としての資質ではなく、
衣食住を確保することが父としての資格ではない。
そんなことは、誰でもやっていることだ。
私はこの子と共に、愛情を持って遊んだことがあっただろうか?
この子の求めることを感じとってやれただろうか?
迫るのは後悔と悲しみ。
私はすべておいて失敗していたことを知っている。
父性という愛を、この子に伝えることが出来なかったのだ。
その様な私に、父としての在り方を教えてくれる方がいた。
神でありながら人として生まれ、人として全ての苦しみを引き受けられ、
十字架の死にまで従われた方。
人生はやり直せる。どんなに時が経とうとも、
あなたはやり直せるとその方は言う。
だからこそ、もう一度始めよう。
積もった後悔の分、いやそれ以上に教えられた愛を注ぎ、
祝福しよう。この目の前の我が子の為に。

ありがとうという生き方
人は無知で、弱い存在であると考えたほうがいい。
人が一人では存在できず、必ず何処かで息詰まるから。
己が全能で、力強く自分で生きていけると思わない方がいい。
自分より弱い人間を見て説教をし、また嘲笑う。
しかしその力強さや財力も、永遠ではない。
年を老い、己の力や財力がたまたま与えられていただけと知る時が来ると、
今の現実との乖離に耐えられなくなり、うろたえる人々を私は見てきた。
自らを強く、自らの力で生きていると思う人は、
他人に優しくできず、自分の価値観を押し付ける。
自らの弱さを知っている人は、他者の痛みを知っているから、
苦しみを同じくし優しくなることができる。
その両者の終着点は、孤独かそうで無いかだ。
私は、自らの弱さと愚かさに苦しんだ。
しかし、その愚かな私に、手を差し伸べてくれる人。
見捨てずにいてくれる人がいる。
その全ての人々へ・・・ありがとう。
心から感謝と祈りを。

GIFT
ソファに座り、懐かしい君の顔を見る。
パネルに切り取られた、過去の時間と君のメッセージ。
運命のように出会い、恋をして結ばれた幸せな日々。
君の姿に、共に過ごした日々を思い出し、吐くような呼吸と涙がこぼれた。
「ねえ、あなた・・・あの子をよろしくね」
笑顔と共に語りかけてくる君。
ああ、ああ、任せてくれ・・・。
自分の膝の上で共に君の姿を見ている娘の頭をなでる。
「ねえパパ、ママとはいつでも会えるけど、やっぱりさみしいね」
寂しそうな笑顔で見上げてくる娘の視線に、握り拳を噛みながら涙に堪えた。
この子には君の残してくれた、時間の記録。その意味がわかってる。
この子は、君と・・・神様が与えてくれたギフト。
君に与えられた時以上に、必ず私が幸せに育ててみせるよ。
だから、愛しい君。天国で安心して見守っていてほしい。
そして、いつか3人で、天国で再びめぐり逢おう。
でも愛しい娘、君の時間は私よりまだ長い。
次の世代にギフトを残し、私に与えられた時が尽きるのを見届けてほしい。
君も自分の幸せを見つけて、精一杯生きて与えられた生を大切にして欲しい。
それが、ママの生きた、パパの生きる意味なのだから。

Sin
俺の目の前に居るのは人の姿をした憎しみ。
憎悪のこもった瞳、口から出るのは俺の人間性を否定する言葉。
周囲の人々によって抑えられているが、その枷が外れた途端、
怒りにまかせた暴力が、俺に降り注ぐのは間違いないだろう。
なぜそんなにも俺を憎み、怒りに身を任せているのか。
その男の名字を聞いて、嗚呼、と思う。
あの娘の身内だったのか、誠実で穏やかで、俺を好きだと言ってくれた人。
己の愚かさ、自分自身を嫌っていて自暴自棄になっていた日々。
自分勝手な内面に彼女を巻き込んでしまった、消えない後悔の記憶。
これは自分の犯した罪の刈り取り、因果の当然な帰結。
なぜ彼女を大切にしてあげられなかったのか、
なぜ誠実であり続けなかったのか。
目の前の男の暴力に、身を任せることで許されるのなら・・・。
俺を殺すことで罪が許されるのならばそれもいい。
しかし、それすらも自分勝手な罪の解決にすぎない。
ただ彼女の幸せを望み、同じ過ちを繰り返さないこと。
黙って頭を下げ、怒りとの偶然の遭遇から離れよう。
これからの人生を慎重に、己の内にある悪から離れて生きていく。
これこそが本当の贖罪。悔い改めなのだから。

心の距離
互いにどれだけの愛と優しさを持ち寄ろうとも、
一人という存在故に、理解し合えないもどかしさが募る。
人が個体であるが故の悲しい心の距離。
その距離を埋めるのは、想像力と思いやり。
その存在の有無で、幸せと不幸の天秤が決まるのだろう。
自らの思いを主張し合えば、その距離が離れるのは必然。
温かな心で互いに許しあえば、距離が近づくのも当然。
どれほど愛し合い、求め合っても時を重ねるごとに、
知らぬ間に思いはすれ違う。心の距離は価値観の相違へとなり、
近くに居るのに、手の届かない彼岸へと心を追いやっていく。
思いが強ければ強いほど、悲しみに沈み心をかき乱す。
どうして・・・どうして・・・。何故こんな事にと・・・。
お互い後ろ髪引かれながらも唐突に訪れる別れ。
想像力や思いやり、許す心さえ人は忘れ去る。
人は悲しい生き物。
せめて、憎み合わないように笑いあえる内に別れよう。
それが幸せになる最良の決断だから・・・。

護り木
スキャンダルに萎縮し顔を青ざめさせて、目の前の映像に映るのは、昔愛した人。
君は華やかな世界にあこがれ、私は愛と別れの予感に身を焦がしながら、君の夢を応援し続けた。
そして君の夢は実現し、役目を終えた私は彼女の世界から去ったのに。
これが君の欲しかった幸せなのか、これは君があんなにも憧れ、叶えた夢なのか?
私のしたことは全て徒労で、無駄に思えて悲しくなる。
こんな君を見たくない。
古いアパートメントの扉を開け、黄金色に染まる家々を眺めながら、指先の相棒に火を灯す。
やるせなさとともに、深く紫煙を吐き出しながら窓枠に体を預けた。
昔からの部屋、いつもの道、見慣れた街灯。
その道中に私を見上げる姿一つ。
部屋を飛び出し、赤く錆びついた非常階段を駆け降りた先には、怯えるような君の姿。
疲れ果て許しを乞うような表情で、泣きながらごめんなさい、そして夢のあきらめの言葉を繰り返す。
私は翼で君を包むように抱きしめた。
私は君の翼を休める護り木。
君の不義や罪すらも許そう。
世間や世界が君の敵に回っても、私だけは君を愛し続ける。
都合がいいと笑われるかもしれないが、こんな愛の形があってもいいだろう・・・なぁ?

嵐の前
夏の残滓に萌え広がる、迂闊に触れれば指を切るような葉や、大小様々な大葉を容赦なく叩く音、硬い大地を殴りつけるような重低音に目を覚ます。
時計を見れば夜と朝の境界を、一刻過ぎたあたり。
周囲から聞こえる雨の狂騒曲に頭を掻き毟りながら身を起こし、静かに玄関から外に出る。
ささくれた心を落ち着かせてくれる相棒に火を灯し、ライトの薄明りの中に浮かぶ水滴の乱舞に紫煙を吹き当てた。
時折降りかかる飛沫に身を隠し、季節外れの哀れなホタルと自嘲しながら、ふと浮かぶのは、嵐の根源が訪れるのは明日の朝という事。
この煩さで今日は眠れるのか?ぼやくのを呑み込みつつ、灰皿に相棒を突っ込み屋内へ。
穏やかな安定剤を口にし、再びベッドに身を任せた。
相変わらず無人の喧騒は鳴り響き、数分もしないうちにその音はさらに大きくなる。
明日の朝は大変だろうなと思いつつ、音に慣れたのか、相棒と薬のおかげでまどろみに落ちていく。
音がミュートしていくように、体の奥に微かに熱を感じながら意識を手放した。
どうやら眠りの心配は要らなさそうだ・・・

煌めき
通勤の車窓の外、楽しげに談笑する若者達。
彼らの元気さを見て自然と笑みが零れる。
自分も若いつもりではあったが、朝の身嗜みの時の私を思い出す。
黒髪の中に紛れる白い筋が幾本。肌の瑞々しさは消え去り、皺も少し・・・。
その瞬間、彼らの若さが輝いて見えた。過去の自分が持っていて、
既に失ったもの。
ああ、時の流れの何という残酷なことか!
最早、私は彼らのようには走れず、夜更かしをすれば枯れ木のように疲れ果てる。
彼らはこれからも、太陽の光に萌え生じる若草のように瑞々しくなり、
私は零れ落ちる砂時計のように、少しずつ何かを失っていくだろう。
しかし、時を経るということは、経験からくる知恵を積み上げるもの。
ふと思わず自らの考えに苦笑を浮かべた。
時の流れは彼方と此方、埋められぬ歳かさの彼岸においても同様なのだ。
若さという特権は、一時のもの。私にとって一瞬であったように、
彼らにとっても一瞬に思える時が来る。だからその時を大切に生きてほしい。
多くの失敗や、成功。悔しい思いや、恥ずかしい思いもするだろう。
目の前にいる彼らは、私と同じ時と経験を得た時に、
同じことを思うのだろうか・・・。

ココ
昇る太陽。ブラインド越しの光に目覚めれば、君は常に隣にいる。
おはようのあいさつを交わし、また新しい一日が始まる。
食事に歯磨き、顔を洗うにも常に隣に君がいた。
ふと頭を撫でようとすると、イヤという風に遠ざかり、空いた時間をソファで寛いでいたら、愛を求めるように僕に身を寄せる。
撫でる手に目を細めたかと思うと、何の前触れもなく遠ざかる君。
その心は風、そして自由。
決して誰にも縛られないくせに、僕の姿が見えなくなると、不機嫌になるらしい。
最初の出会いは、生まれたてで弱々しく、捨てられて病を負っていた。
乳を飲むのも、もよおす事も、生きる事も自分では無理。
だから、僕に与えられた時間をすべて君に注いだ。
病から解き放たれ、目が見えていることを喜んだ日。
自分からお腹が空いたと訴え、弱々しい足取りで縋り付いて来た時。
本当の幸せを見つけたように眠り続ける日々。
その一つ一つが大切な宝物。
調べ物をしていると、仕事道具の上に載ろうとして僕に構えと意思を視線に宿らせ、僕が帰ってくると玄関先でお帰りと嬉しそう。
今こうして生きていくことさえも、君と積み重ねていく優しき日々。
そしてこれからも、僕は君と共にある。