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RAIN
Short story
ある春先の、訪れた葬列
少しばかりの寒さ、畑というには狭いガーデン
コンクリートの雪が降りそうな空の中、朽ち果てた小さな木立へ葬送という見送りを
昨日は少し暖かかったから、勘違いしたカエル達も困惑したように飛び跳ねた
どうやら自然という精緻さに組み込まれたカエルを見て、失敗を重ねた私が重なる
新たなる人生のスタートを切り、季節を測る光の誤差も僅かだというのに
顔を合わす多くの人生と環境に、胃と背中あたりがキリキリと自己主張
私という人間はこんな風に作られました・・・
ふとそんな思いに苦笑い
噛んだ砂の味は未だに消えず、大病の後も残っている
道を示された人は、道を示してくれた方に何を言うことが出来ようか
たとえどんなに生き方が下手でも、私は贋作ではなく本物だ
火葬される細枝を眺める瞳と、平野を抜ける冷たい風にすくめる体
とりとめもなくくだらないことを考える私と、それで良しと言ってくれる存在
あと少ししたら胃のあたりが激しく痛みはじめるだろう
私はそういう人間なのだから
再出発を与えてくれた神様と、胃と心を整える薬とに支えられながら
もう誰も傷つけないように、もう悲しまないように
慎重に、繊細に、誠実に、正直に
風を切って進もう
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